医療法人 蒼龍会

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泌尿器科
 

泌尿器科


当科では、一般的泌尿器科診療に加え、透析に関連する泌尿器科的合併症の治療および腎移植外来を設置して腎移植後の患者さんのフォローにも積極的に取り組んでいます。

当科で治療を行っている代表的疾患につきご説明致します。

 

腎癌

透析を開始して長期間が経過すると腎の嚢胞化(腎実質の一部が袋状になる)が起こり、特に10年以上が経過すると腎臓全体にみられことが多くなります。

これを後天性嚢胞性腎疾患(ACDK:acquired cystic disease of the kidney)といいます。
原因はよくわかりませんが、腎移植を行い、腎機能が改善すると嚢胞が消失することがあり、尿毒性代謝産物などが原因になっているのではないかと考えられています。

この状態では細胞の増殖能が強く、変異した細胞になり、嚢胞-腺腫-癌へと進行するのではないかと考えられています。

このように透析患者さんでは腎癌の発生率が高いことが報告されており、発見が遅れると他の臓器に転移して生命を脅かすことがあり早期に発見する必要があります。
唯一根治的な治療法は手術で腎摘出を行うことで、これのみで完治する場合がほとんどです。

手術の方法はほとんどが腹腔鏡下で行われています。他の臓器へ転移した場合、以前はインターフェロンに代表される免疫療法が行われていましたが、最近では分子標的薬というお薬が保険適応となり、これらの薬剤を中心に使われることが多くなりました。

免疫療法に比較して治療効果が高いのですが、間質性肺炎、手足症候群、疲労感など独特の副作用があるのが特徴です。転移した部位や全身状態により、免疫療法や分子標的薬を使い分けて使用している施設もあります。

最後に予防法ですが、予防法は定期的に腎に対してスクリーニングを行い早期発見に努めるしかありません。年に1回ないし2回の超音波検査およびCTあるいはMRIを行うことは、特に長期間透析を受けている方には重要です。
しかしいわゆる透析腎癌は嚢胞内にできるため診断が難しいことが多いと言われています。

当院ではこれまで多数の患者さんを早期発見して治療してきましたので腎腫瘍が疑われる場合には、お気軽にご相談ください。

 

前立腺癌

健診等のPSAスクリーニングの普及により、比較的早期に前立腺癌を診断することが可能になりました。確定診断には生検といって、エコーガイド下に針を用いて前立腺組織を採取して、顕微鏡で癌の有無を調べる方法があります。

しかし1回目の検査では癌がみつからず、2回目、3回目の生検で初めて癌がみつかることも少なくありません。局所麻酔や腰から簡単な麻酔をして行いますが、1回目の生検で痛い経験をすると、再生検は受けたくないと考える方がいます。
しかしこれでは診断時期を遅らせることになります。

当院ではこういった方に、短時間の全身麻酔を用いた方法も行っています。一泊入院が必要ですが、生検当日に食事、歩行も可能です。

また前立腺癌と診断された場合、治療法は年齢や癌の進行度により異なりますが、手術、放射線療法、内分泌療法の単独あるいは併用療法が一般的に行われています。

放射線療法には前立腺組織内に線源を埋め込む小線源療法と、外照射といわれる従来の方法があります。外照射もコンピューター制御された装置を装着し最適な線量を照射するIMRT(intensity-modulated radiation therapy)が日本で導入され、より多くの線量照射が可能になっています。

手術ではロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術(da Vinchシステム)が保険適応になり限られた施設で行われるようになりました。当院では最適な治療法を患者さんと相談しながら提案し、必要に応じて他施設へ紹介しています。

前立腺癌は生活様式の欧米化に伴い、現在年齢調整罹患率は胃癌、大腸癌、肺癌に次いで第4位と2000年より急上昇しています。罹患率はそのうち胃癌に次いで第2位になると推定されています。特に前立腺癌の家族歴を持つ男性は、スクリーニングの対象として重要ですので、早めの検診を受けるようにしてください。

 

副甲状腺

透析患者さんの重大な合併症のひとつに二次性副甲状腺機能亢進症があり、血管石灰化や生命予後を考えると適切に治療することの重要性が日本透析医学会の“慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常の診療ガイドライン” (http://www.jsdt.or.jp/)に記載されています。

シナカルセト塩酸塩の発売以来、副甲状腺全摘術(PTx)の対象となる患者さんは激減しましたが、シナカルセト塩酸塩が副作用で継続できない、あるいは無効な場合はPTxが必要であり、また手術をすることで劇的に症状が改善し、総死亡率、心血管系死亡率とも減少させることが日本人のデータで報告されています。

副甲状腺は腫大していないと米粒大ほどの小さな組織で存在部位にばらつきがあり、また5腺以上存在する場合もあり、2回以上手術をしないといけない場合が少なからずあると言われています。

のため再手術の可能性を少なくするためには、初回に4腺以上の副甲状腺を確実に摘出することが大切と考えられます。

当科では2010年から6年間で再発例を除く46人の患者さんにPTxを施行し、重篤な合併症もなく、摘出腺数も平均4.1腺と良好な成績を収めています。

一般的に頸部の手術では反回神経が術野の近くにあることより、嗄声といって発声障害を伴う厄介な合併症がありますが、当科では術中にNIM-Pulse神経刺激モニターを使用し反回神経の同定に役立てています。

 

アクセス関連手術

年間200件以上のアクセス関連手術を行っており、当科での中心的な手術になっています。

当院での血液透析導入時や再建時の内シャント作製術だけではなく、他施設でシャント作製が困難と判断された患者さんに対する再建手術、グラフト(人工血管)移植術なども行っています。
その他さまざまな透析シャントトラブルに対する手術にも対応しています。

最近の傾向としてグラフト移植術が増加傾向にあります。その要因として糖尿病性腎症、腎硬化症、高齢で透析を導入する患者さんの増加、また長期透析患者さんのシャントトラブルなど、他施設からの紹介数が増加していることが考えられます。

また当科では腹膜透析に必要なCAPDカテーテル腹腔内留置術も行っています。